
・いざというときって どんなとき?
・おっことさないもの なんだ?
・くま一ぴきぶんは ねずみ百ぴきぶんか
この4つの問いかけ。なんだと思いますか?
「くまの子ウーフ」という短編連作集のお話のタイトルなのです。
子どもの頃、学校の教科書で読んだこともある人も多いと思いますが、私は大人になって読み返してみてはじめて、ふるえるほどこの作品が大好きになってしまいました。
だって、この本。童話でありながら、詩集であり、哲学書なんですから。
ぼくは くまの子。
うーふーってうなるから、名前が くまの子ウーフ。
あそぶのが 大すき。なめるのと たべるのが 大すき。
それからいろんなことを かんがえるのもね。
どんなことかって?
うーふー、
さあ よんでみてくれよ。
ウーフは考えます。
めんどりはたまごを毎日産むからたまごでできているの?
それじゃあ、ぼくは毎日おしっこするからおしっこでできてるの?
たくさんたくさん考えた末に、ウーフは思います。
やっぱりさ、ぼくがおしっこでできてるのはへんだよ。
くまの子ウーフはいたいと思ったり、たべたいと思ったり、おこったり、
よろこんだりするんだ。おしっこなんか、そんなことかんがえっこないさ。(中略)ぼくはぼくでできてるんだ。ウーフはウーフでできてるんだよ。
わたしはまぎれもなく、わたしでできている。そう思うだけでホクホクうれしくなります。
デカルトのコギト命題なんて飛び越えて、ウーフの言葉には真正面から生への喜びがあふれています。
多分、そのことこそがわたしをふるえさせているんだろうと思います。
作者の神沢利子さんはくまの子ウーフ誕生についてこんなふうに語っています。
「起伏のあるストーリーは勿論面白い。しかし、ここでストーリー性によりかからず、もっと端的にものの本質に迫る仕事はないものか。─中略─幼年童話の中 で、この詩に近い仕事を─(というのは前述のストーリー性をはなれた云々)と『くまの子ウーフ』でそれを試みた。」(『日本児童文学』1970.3)
人間の根幹をなす問いを、さらりと鮮やかにちいさな人に手渡すそうなんて、そうそうできることではありません。ユーモアにあふれ、そのうえどんな人も受け入れてくれる懐の深さ。この作品は、星の王子様に並ぶとも劣らない、真に「大人のための絵本」なのかもしれません。
そんな神沢さんの世界をもっと知りたい人のためには、神沢利子さんの展覧会「トコトン!神沢利子展 いのちの水があふれだす」 が三鷹市美術ギャラリーで開催されています。1月13日までなので、お時間がある方はぜひ。
最後にもうひとつ、ウーフのお話を。
暑い夏のある日、小鳥のビビはウーフにいいます。
暑いんだから、毛皮をぬいで、売ったらどうお。お金持ちになれるわよ。
お金持ちになったら、ソフトクリームなんて、百こも買えるわよ。
ウーフは毛皮をぬごうと奮闘しますが、結局ぬげるはずもなく。とうとう泣き出す始末。
そこへコガネムシがやってきていいます。
くまちゃん おっことしたり、なくしたりしないものだけ、もってればいいのさ。
ウーフはコガネムシに問いかけます。
おっことしたり、なくしたりしないものって なんなの?
形があるものはすべておっことしてしまうようだけど、1つだけ形があるけどおっことさないものがあります。それはなんなのかは、ウーフをよんでからのお楽しみに。
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Tags : くまの子ウーフ, 井上洋介, 絵本, 言葉, 児童文学, 神沢利子, 展覧会関連する投稿



tbさせていただきました。「くまの子ウーフ」や「うさぎのモコ」、とってもかわいいですね(^^)。
magunoria さん
コメントありがとうございます!