ニューヨークのMOMAで、朱でぬられたキャンバスに真っ白の線が上から下へ入っている大きな絵、Barnett Newmanというアメリカの画家の絵を見たときのこと。遠くから見て、すっかり白い線だと思っていたのだが、近寄ってみると、注意深く朱をぬり朱と朱の間のすきまが白い線の正体だと気がついた。そのとき私は、「視点をかえる」ということをまじまじと感じ、アートとはこんなにすごい力を持つものなんだと、しばしその絵の前を動くことができなかったのを覚えている。
それ以来、「視点をかえる」とキーワードが、私にはとても大事なことのように思え、絵本を選ぶときでもそんな力を持つ絵本を探してしまう癖のようなものがついてしまった。
片山健さんの「ぼくからみると」
谷川俊太郎さんの「わたし」
天野祐吉さんの「絵くんとことばくん」
イシュトバン・バンニャイさんの「アザーサイド」
この4冊が私の「視点をかえる」がテーマの絵本のおすすめである。
中でもいちばんのおすすめが、「ぼくからみると」だ。
ある夏の暑い1日。ぼくはつりをしている。目の前には森、そして池がみえる。でも、池の中のかえるからみると?森の上を飛ぶ鳥からみたら?草の上をはう虫からみたら?ぼくを包む、たったいまこの一瞬はとても多面的だ。見えている世界の大きさも、流れている時間も違う。かえるには、かえるの。鳥には鳥の。それぞれの一瞬がつながってできている今この時。
どんなものごとも見えていると思ったら、そのことが全てとなってしまう。だけど、見えているものはひとつだったとしても、見えているものの周囲や裏側をしっかり見てみようとするだけで、全く違ったものが見えてくるのだ。ものごとは多面的にできている。人だって多面体なのだ。
この絵本は、そんな真実を見事に描ききってしまっている。すばらしい名作。残念ながら、現在絶版。図書館にはあるかと思うので、気になる方はぜひ手に取ってみてください。
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください。
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください。
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください。
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください。
Tags : 絵本, 谷川俊太郎関連する投稿


