あなたのいちばん特別な場所はどこですか?
わたしの特別な場所を一カ所あげるとするならば、ある村の森の奥にある天文台でしょうか。
そこにはなにもありません。丸い空があるほかには、本当になにもないのです。
水曜日は天文台がお休みの日なので、ますますなにもなくなります。私はよくあたたかい飲み物とちょっとした甘いモノを持ち、その日をねらってこっそり通ったものでした。冬はブランケットを持ち込みくるまれたままごろんとし、夏は芝生の上にシートをひいて、またまた懲りることなくごろんとしました。夕焼けの頃が一番の見頃で、すこしずつ群青色の夜が落ちてきて、いくつかの星を発見するまで、とにかくじっとしているというのが、そこでの過ごし方の主なものでした。
わたしにとって、あの場所が特別であるように、人はだれでもその人だけのちいさな場所をもっています。そのことを、おおらかに語りかけてくれるのが、アイリーン・ハースが描く、「あなただけのちいさないえ」という絵本です。
カーテンの中、テレビの台の下、家の壁と塀の間や庭のやぶのうしろ。
おさない頃、いたるところがわたしのちいさな家でした。
そして、大人になってもなお、ソファーの隅やお風呂の中など、ちいさな家はいまでも私を支えてくれています。きっとあなたも、あなたの隣にいるあの人もそんなちいさな家をたくさん持っているのではないでしょうか。
自ら選び取る孤独がどんなひとにだって等しく大切だということを、この本は語りかけてくれているのかもしれません。冬のとても寒い日に、毛布にくるまって読みたくなる温かい1冊です。
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