子どもも大人も居心地のよい空間をつくりたいと思うと、子どもの視点ってどんなだったろう?とよく考える。この空間って子どもたちから見るとどうだろう。そう考える思考回路と共に、中腰になって空間をみてしまう癖がついている。
このあいだ、佐藤雅彦さんの短編映画集KINOの中から、「大人の領域、子どもの領域」を見た。ロケ地はルーマニア。そして全編フランス語に日本語の字幕。
内容はというと、おとうさんと男の子が、ある目的地へいくまでの時間を2つの視点で描いている。1つはおとうさんの目の高さ、そしてもう1つは男の子の目の高さ。カメラは上下せず、1つ目の映像ではカメラはお父さんの腰より上しか撮さないから、男の子がどんな動きをしているのかわからない。変わって、2つ目の映像は、男の子の目の高さに切り替わる。ここではじめて、子どもがどれほど好奇心を持って世界を眺めているのかが鮮やかに浮かび上がってくるというしかけ。
この映画を見たときに、思い出した絵本があった。今年復刊された、林明子さんと神沢利子さんの「いってらっしゃーい、いってきまーす」がそれだ。
共働きの両親を持つ女の子が、保育園へいき、そして帰ってくる。なんでもない1日の物語。だけどこの本には、佐藤雅彦さんの映像と同じように、途中から子どもの視点に切り替わる。たくさんの人がいる中では、大人のおしりばっかりしかみえなかったり、帰り道にある自動販売機が不思議に思えたり、いつもの道沿いのブロック塀の穴を思わずのぞき込みたくなったり。誰にでもあったはずの感覚を思い出させてくれるのと同時に、子どもがどれほど豊かに世界を見ているのかを感じさせてくれるのだ。
1983年に出版されたこの絵本。物語の中では、お父さんとお母さんが子育てを助け合いながらしている姿がみえてくる。出版された年の平均的な家族のあり方から考えると、わりと進歩的な家族を描いていたのではと思う。そういった読み方をしてみても、また新しい一面がみえてくる。
その上、この絵本にはヒミツがたくさん隠されている。ヒントは、青い鳥とネコ。それ以外にもたくさんヒミツがあるのだけれど、それは読んでからのお楽しみに。
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