6月 22
前ページモノクロの中、ひときわ目を引く真っ赤な傘をさした女の子がお父さんを駅まで迎えにいく。そこには冒険もファンタジーも介在せず、ただ淡々とした時間が流れています。商店街、公園に電車。そこに描かれたのは、ありふれた日常の風景ですが、ページをめくる度にまるでそこにあるように、雨の音や匂い、雑踏の音などをしっかりと感じさせてくれます。
女の子のかさを目で追いながら、「あ、いたいた」と繰り返し楽しめる安心感もこの絵本の魅力ですが、よそ見をしたり、ぼんやりしたりしながら、雨の中、お父さんを迎えに行く女の子に自分の幼い日を重ねてしまい、そこに描かれた懐かしい風景と一緒に、子どもの頃に感じていた不安と期待がないまぜになったような感情を思い起こされます。
駅にむかうまでの町の様子の移り変わりを楽しんだり、女の子を探したり、お話をつくってみたり、いろんな楽しみ方ができることはもちろん、ノスタルジーを誘う大人にとっても特別な絵本であるような気がします。
言葉のない絵本の中でも、ベスト3に入るくらい大好きなこの絵本。雨がたっぷり降るこの季節には、必ず読みたくなる1冊です。
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